なべしまながこぞう
明治時代中期~後期 高木背水 筆 紙本木炭
1面 縦40.0cm 横33.1cm
篤志看護服姿の鍋島栄子(11代直大夫人)の肖像画。栄子は日本赤十字社の篤志看護婦人会の幹事のち会長を明治20年(1887)~昭和11年(1936)まで約半世紀の永きにわたって務めたほか、東洋婦人会会長や大正婦人会、共立婦人会など各種団体の要職を歴任し、社会活動に積極的に貢献した。
この肖像画の作者は佐賀出身の洋画家高木背水。写真と見紛うほどに極めて精緻であり、写真(ページ下部)をもとに描かれたものと考えられる。
高木の祖父鍋島茂真(安房)が、直大の父直正の庶兄にあたることもあり、明治期に佐賀から上京した高木は、直正の末弟にあたる鍋島文武邸に奉公。明治30年からは永田町の鍋島直大邸で玄関番書生を勤め、大正2年(1913)にはその一隅に画室を設け背水画塾を開いている。このような東京での鍋島家との深い関わり合いの中で本作も制作されたものと思われ、栄子以外の家族の肖像も数多く残されている。(鍋島直正、直大、松平慈貞院、直映、禎子、尚子)
(肖像写真)
本品は佐野常民記念館「常民をめぐる人々」展(平成31年2月11日~3月24日)に出品します。