べにいろがらすかしき(さつまきりこ)
明治時代初期 ガラス製
1点 高さ23.0cm 横19.9cm
深い紅色のガラスに菊御紋の装飾が施された切子(カットガラス)の三段重。允子内親王(明治天皇第八皇女)が嫁がれた朝香宮家に伝来し、のちに朝香宮紀久子さまの降嫁により鍋島家へと伝来した。
幕末の薩摩藩では、当時日本では作ることのできなかった紅ガラスをはじめ藍や緑などの色ガラスを開発。カットを施した薩摩切子は将軍家などへの贈答にも用いられ、明治5年12月には宮内省より3点の蓋物を注文されている。
その際に皇室に納められた3点のうちの1点とみられるものが、聰子内親王(明治天皇第九皇女)が嫁した東久邇宮家に伝来。また、完品ではないが町田市立博物館にも同意匠の1点が所蔵されている。
本品は、意匠や大きさがこれらの品と共通しており、さらに箱書きの内容や筆跡が東久邇宮家伝来のものと同一である。また伝来も考慮すれば、前述の3点のうちの1点である可能性が考えられる。
(箱書)
本品は「伝来品でたどる鍋島家の歴史 ―佐賀藩主から侯爵へ」展 第2期(8月19日~10月19日)にて初公開します。