■慶応3年(1867) 3枚 (1) 縦15.8cm 横19.4cm (2) 縦15.8cm 横19.3cm
(3) 縦10.1cm 横14.2cm(法量はいずれも台紙) 公益財団法人鍋島報效会所蔵
■明治6年(1873)~明治16年(1883)頃 1枚 縦15.8cm 横28.5cm(台紙) 公益財団法人鍋島報效会所蔵
藩祖鍋島直茂公は明和9年(1772)、8代藩主鍋島治茂公により創建された日峯社(現・松原神社)に祀られ、日峯明神となった。
本資料は慶応3年(1867)に直茂公の没後250年を記念し、松原神社の参道にあたる新馬場で催された祭礼を写した古写真(3枚)。松樹を背景に、各町が競ったという桟敷や接待茶屋とみられる二階・三階建ての建物の軒先に雪洞が垂れさがり、山車が曳かれ、三味線行列が練り歩くなどの賑わいが写されている。この祭礼の様子を伝えるものとしては、城下の町人により発行された版画資料や『鍋島直正公伝』(侯爵鍋島家編纂所、大正9年)が知られてきたが、これらの描写や記述と一致する点が多い。
いずれも撮影者は未詳ながら、佐賀城下の屋外の様子を写した江戸時代にさかのぼる古写真が確認されたのは本資料が初めてである。
また、これら3枚と共に松原神社境内を写した1枚が伝来している。その撮影時期は、伝来を重視すれば同時期の幕末とも考えられたが、鍋島直正公を合祀した明治6年(1873)に建てられた拝殿(左側)が写されていることなどから、その直後頃の撮影と考えられる。
本品は「藩祖鍋島直茂公と日峯社」展(平成29年5月29日~7月29日)にて初公開しました。