1基 口径6.3cm 全長27.5cm 真鍮製・革製
四段に伸縮させることができる遠眼鏡で「ヤルド遠眼鏡」と呼ばれる。本品は脚付きだが、手持ち式の遠眼鏡とともに鍋島家に伝来した。佐賀藩が福岡藩と共に担った長崎警備では、遥か沖の水平線に姿を現す外国船を遠見番所から遠眼鏡で確認し、いち早く長崎奉行や佐賀城へ報告する「白帆注進」が行われた。本品もこうした際などに用いられたものか、参考品のひとつだろうか。
なお、本品とほぼ同形・同大の類品が武雄鍋島家(佐賀藩親類同格)に伝来しており、現在は武雄市図書館・歴史資料館に所蔵されている。その鏡筒には「A van Emden Amsterdam」の刻銘があり、オランダのアブラハム・ファン・エムデン(一七九四~一八六〇)が創業した会社が製造・販売したケプラー式屈折望遠鏡であることが知られている。(参照: 『日本を動かす! ―武雄鍋島家洋学資料』 武雄市図書館・歴史資料館、平成26年)
本品は「蒸気軍艦を入手せよ!! ―江戸後期の長崎警備」展(平成27年7月6日~9月12日)に出品します。