みつひめあて なべしまなおまさしょかん
安政4年(1857)閏5月18日付 縦17.2cm 横58.4cm
鍋島直正が、長女貢姫(2年前の安政2年、川越藩主松平直侯に嫁す)に宛てて佐賀から書き送った直筆の書簡。今年の佐賀は例年以上に暑気強く、来月(6月)はどれ程の暑さになるだろうかと思いやられるという。特にここ数日はあまりの暑さに、納涼のため御一家一同で佐賀城下北郊に位置する川上から多布施川周辺を船で遊覧し魚取りをして楽しんだが、アユ・ハヤ・ウナギが大漁で、「子供など、別て大よろこび賑々し」かったという。また暑中見舞いとしてタバコを贈っている。この書簡を手に取った貢姫にとっては、父直正はじめ御一家の佐賀での息災ぶりが目に浮かんだことだろう。
鍋島直正は、御一家での娯楽や保養として多布施川や神野御茶屋を訪れ、また製砲所(反射炉)や調練場視察などのためにもしばしば城下北郊に足を運びました。その足跡をたどるまち歩きイベント「佐賀城下探訪会 鍋島直正が訪ねた城下北郊」を平成26年10月19日(日)に開催します。
本品は10代藩主鍋島直正公生誕200年記念・第68回展「鍋島直正の本音 ―愛娘への手紙から」(平成26年10月6日~12月6日)に出品しています。