尾形月耕 (安政6年=1859 ~ 大正9年=1920) 筆
明治時代(19世紀)/絹本着色・掛幅装/竪112.5cm 横142.7cm
太鼓橋から楼門、本殿へと続く太宰府天満宮の風景を描く。地はうっすらと雪化粧し、梅は花をつけている。着飾って歩く人々は新年の参拝客であろうか。本殿は本来あるはずの唐破風造の向拝が描かれておらず、楼門は大正3年に再建される以前の姿を示している。
作者の尾形月耕は明治大正期の日本画家。江戸京橋生まれ。独学で菊池容斎や河鍋暁斎らの画風や浮世絵を学ぶ。蒔絵や輸出用七宝の下絵、浮世絵版画を描き、新聞雑誌の挿絵でも知られた。日本美術院会員。
本作は明治天皇から侯爵鍋島家11代当主直大への御下賜品である。直大公は明治天皇の信任厚く、元老院議官、貴族院議員、宮内省 式部長官、宮中顧問官等の要職を歴任した。
本資料は、第59回展「明治天皇と鍋島直大」展(平成25年1月4日~2月2日)に出品しました。