なべしまなおまさあてしまづなりあきらしょかん
江戸時代後期(19世紀半ば) 紙本墨書 巻子装 (本紙)縦17.0cm 横76.0cm
11代薩摩藩主島津斉彬(1809-58)から10代佐賀藩主鍋島直正へ送られた手紙。薩摩藩品を贈られた直正が返礼として佐賀藩品と塩鳫を贈ったことに対し、斉彬がお礼を述べている内容。追伸にあたる箇所では、格別の楽しみもないこの頃だが、「火術の事は、相変らずお楽しみの事とお察しします」と記されている。
書かれた年代は未詳ながら、幕末の佐賀藩は長崎警備、薩摩藩は琉球への対処などを通じ、それぞれ外圧に対する洋式軍備の導入に力を注いでいた。
また、直正の実母・幸姫と斉彬の実母・弥姫はともに6代鳥取藩主池田治道の娘であることから、従兄弟同士であった2人は、ともに海防意識が高く、火術(砲術)の向上に取り組む同志でもあった。
(本文)
花翰忝拝読、不順之時気ニ御坐候処、弥御健栄被成御起臥奉欣喜候、野夫無異儀候間御安意可被有候、扨旧臘幣邑之麁品致進呈候處、満々御挨拶被仰下、加之貴邦之名品并塩鳫御恵賜不浅辱御礼恩毫ニ難尽御座候、先は奉復迄忽々如此御坐候、猶期後音之時候、頓首 松(松平) 豊後守 斉彬(花押)
四月四日
松(松平) 肥前守様(直正)
二演、御端書之趣忝、猶時分柄御保護肝要奉存候、御同事ニ格別楽も無御坐候、火術は如何不相変御楽之御事と奉察候、尚追々可申述候、伊予守へ御和毫忝、則相達可申候、已上
本品は「幕末明治の鍋島家 ―大名から侯爵へ」展 第3期(平成30年8月25日~11月5日)にて公開しました。
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