がらすきんぎょばち
精煉所製 明治20年(1887) 1口
高32.0cm 口径31.8cm 内径24.5cm
猫足形の三脚が付いたガラス製の金魚鉢で、高さ・口径ともに30㎝を越す大きさである。東京にお住まいの11代当主鍋島直大・栄子夫妻らご一家が明治20年2月に下県され、11日に佐賀市多布施町の精煉所(せいれんしょ)を視察した際に同所より献上された2個口のうちの一つ。この時は鍋島家にとって廃藩置県後初めてとなる正式な下県であり、約1ヶ月に渡り佐賀・長崎の各所を訪れ、その先々で盛大な歓迎を受けている。
精煉所は、佐賀藩において嘉永5年(1852)に設けられた理化学研究施設である精煉方(せいれんかた)の流れをくむもので、廃藩後は鍋島家の管理となり、品川ガラスで研修を積ませた上で日常使いのガラス製品などを製作した。その後、明治20年代に青木熊吉や副島源一郎らにより佐賀精煉合資会社が設立され、ここで製作された製品は「佐賀ガラス」と呼ばれた。同36年に独立した副島源一郎により設立された副島ガラスでは、現代にいたるまで「肥前びーどろ」として生産が続けられている。
この作品は佐賀県立佐賀城本丸歴史館で開催される夏季企画展「佐賀ガラス ~宙吹き技法の歴史~」(平成24年7月27日〔金〕~9月2日〔日〕)において展示されました。