能面 若紫女(折紙添)
のうめん わかむらさき(おりがみそえ)
源氏の君がまだあどけない紫上の表情に、慕わしい俤をみいだす。「若紫」はその出会いを記す巻名。その名を持つこの面は、幼さの残る紫上の面差しを写そうとしたものであろうか。面裏右頬には金漆で「天下一人作者 出目法眼若狭大掾入道 従五位下」左頬には「小山氏藤原政長(花押)藤原壽満(花押)」とある。そして面裏中央には「天下 写顔 八面 若紫女」と書かれ、「春日野の若紫の摺衣しのふのみたれかきり知られす」と記される。また、壽満の筆跡による折紙が二種。一種は証文、もう一種は伝来が記されている。