にんしきぶちょうじれい
1通 紙本墨書 明治22年(1889)7月23日 鍋島直大宛て 縦22.7cm 横30.7cm
明治13年(1880)より特命全権公使イタリア在勤としてローマに赴任していた鍋島直大は、同15年に任を終えた。5月に帰国した直大は、同月31日付で立法諮問機関の元老院を構成する元老院議官に任じられるとともに、宮内省式部頭(しきぶのかみ)の兼任を命じられた。その後、宮内省の機構改革に伴い職名が変わり、明治17年に式部長官を兼任、明治22年には式部長となった。この役職は、宮中の祭典・内外人謁見や雅楽などを掌る式部職の長にあたる。
本資料は明治22年、式部長任命時の辞令である。勅旨によって任じられる勅任官であるため中央上部に天皇御璽の朱文方印が捺され、宮内大臣土方久元が奉ずる形で発行されている。「兼任」とされた式部頭や式部長官とは異なり「任」となっているのは、これに先立つ明治19年に元老院議官を免じられていたためである。なお同日付で宮内省から「式部長侯爵鍋島直大」に宛てられた叙勅任官一等賜三級俸の書付も現存する。
直大は明治天皇の御側役にあたるこの役職を明治28年に依願辞職するまで13年間務めた。そののちも明治天皇の信任が厚く、代拝に関する文書なども残る。
本品は「佐賀県唯一の国宝と鍋島家の名宝」展(2020年5月25日~7月25日)にて公開しています。
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