10代藩主 鍋島直正公は、わが国の近代化を他藩に先駆けて先導した藩主ですが、多忙な殿様に必要だったのが「御茶屋」という別邸でした。数ある直正公時代の御茶屋のうち、弘化3年(1846)に造営された最も宏壮な御茶屋が神野御茶屋です。その造作は壮麗で、室内は選りすぐりの御道具で飾られ、藩士と親睦し御一家と遊ばれた神野御茶屋は、藩主の心をしばし解き放つ特別な空間でした。明治時代以降も、御下県の際には侯爵鍋島家による園遊会が催されました。大正12年(1923)に鍋島家から佐賀市に寄附され、神野公園と名を改めて2013年で90年。今なお親しまれている御茶屋の歴史を文書や古地図、古写真からたどり、室内を飾った御道具の数々により往時の趣きを偲んだ展覧会でした。
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