みつひめあて なべしまなおまさしょかん
嘉永7年7月25日付 縦18.2cm 横63.3cm
鍋島直正が、桜田の佐賀藩上屋敷に住居していた長女貢姫に宛てた直筆の書簡。佐賀藩は嘉永3年(1850)以降、外国船警備のため長崎台場を築いた。このことで、直正は幕府から嘉永7年(1854)6月に褒賞を受け、将軍家伝家の宝刀(備前長船長光)を拝領した。その喜びを父直正に伝える貢姫からの便りに対する返書がこの書簡。二度も繰り返す「誠に以て有り難く」のフレーズや、「寔ニ稀ナル御事」からは、直正の高揚した気分までもが伝わる。末尾に書された二首の和歌は他の資料に見られないもので、「なおこの上も備てん かくてやむへきこころならめや」と、今後のさらなる警備充実への意気込みを詠んでいる。約10日後の閏7月6日付でほぼ同内容の貢姫宛ての書簡が残る。
本品は10代藩主鍋島直正公生誕200年記念・第68回展「鍋島直正の本音 ―愛娘への手紙から」(平成26年10月6日~12月6日)に出品しています。