はとのつえ
江戸時代 木製 全長114cm 1杖
4代藩主鍋島吉茂(1664-1730)が菩提寺の高伝寺に寄附し、大正14年に返納されたもので、先端に鳩形をつけた木製の杖。鳩は食するとき咽(む)せない鳥であるとして、これにあやかるため、老人用の杖の握りの部分に鳩の形をつけたとされる。
『綱茂公御年譜』や『葉隠』によれば、元禄4年(1691)5月23日、2代鍋島光茂の六十の賀を祝し、のちに3代藩主となる嫡男綱茂は「銀細工鳩ノ御杖」を差し上げ、親類・家老・着座まで御料理の拝領と、御杖の拝見があった。本品は木製であるので、この銀製の杖とは合致しないが、67歳と長寿であった吉茂のお祝いに贈られたものだろうか。
2011年が1611年(慶長16年)の佐賀城築城から400年の節目にあたるのを記念し、徴古館で開催した第54回展「歴代藩主と佐賀城」展(平成23年9月26日[月]~12月3日[土])に出品しました。