りゅうぞうじたかのぶぞう
文化13年(1816) 絹本着色 掛幅装 1幅 縦105.0cm 横42.9cm
肥前を中心に西北部九州を領した戦国武将 龍造寺隆信(1529~84)の肖像画。大紋に袈裟をつけ、頭巾を被り扇を手にして上畳に座す姿で描かれる。木箱蓋裏には「斎(斉)直賢君御寄附 文化十三年戊子秋後八月」という龍泰寺二十五世大養俊機による墨書があり、9代藩主鍋島斉直が龍泰寺に寄附したことがわかる。(但し文化13年は戊子ではなく丙子)
本図と類似する図様の隆信像としては、侍烏帽子姿と頭巾姿のものが数点ずつ知られている。頭巾姿のものでは、寛永年間(1624~1643)に龍造寺隆信の墓所龍泰寺の住持だった天雪珠光による賛を伴うものが古い(龍造寺家の本家筋にあたる村田家旧蔵/佐賀県立博物館所蔵)。その巻留には、斉直が文化13年(1816)の改装に際し模写本を描かせた旨が記されており、本図がその模写本にあたる。
鍋島家は明治4年、城下の各寺院に散在する龍造寺家・鍋島家の主だった人物の墓を高傳寺に改葬したが、その際に累代の龍泰寺への寄附物が同寺より鍋島家に返納されており、本図もそのひとつと思われる。本図のほか鍋島家に伝わった隆信像として、隆信のもとで武功を重ねた鍋島直茂がその菩提を弔うために建立した宗龍寺に寄進し、のち10代藩主鍋島直正が安政元年(1854)に再表装した一点が残る。(詳細はこちら)
※参考:福井尚寿「研究ノート 龍造寺隆信の肖像」『佐賀県立博物館・美術館報』第95号、平成4年
本品は「佐賀県唯一の国宝と鍋島家の名宝」展(2020年5月25日~7月25日)にて長巻なおし(伝 龍造寺隆信佩刀)とともに公開しています。