朱漆塗鼠嫁入蒔絵盃
しゅうるしぬりねずみのよめいりまきえさかずき
朱漆塗の盃で、鼠の嫁入りの様子をあらわす。四枚からなり、小盃から大盃の順に、神社での見合い・新婦邸での結納・新郎邸の玄関前での輿入れ・新郎邸大広間での婚礼、という順に、擬人化された鼠の嫁入りが進行する。本来はもう一枚、一番小さな盃に見合い相手を探す場面が描かれていたと推測され、五枚一組であったと考えられる。高台内には大盃に「羊遊斎/更山作」、他は「羊遊斎」との銘があることから、作者は江戸時代後期の蒔絵師・原羊遊斎であることが分かる。羊遊斎は古河藩主土井家の御用蒔絵師をつとめたほか、鍋島家をはじめ他の大名家の御用も請けていた。