収蔵品紹介

牙彫バナナ棚飾

げぼりばななたなかざり

一筋の皮をむいた、やや熟れかけたバナナの置物。精緻な彫技と色染により、変色した皮の部分や白い果実の繊維の通った質感などを見事に表現している。台は総体溜塗、桜花流水模様を金平蒔絵であらわす。象牙材に着色をほどこすようになったのは明治40年代以降で、実物と見まがうばかりの果物や花卉の置物が隆盛した。本作はそうした写実描写の粋をきわめた置物のひとつ。作者の中川竜英は明治39〜43年にかけて東京彫工会牙角部の会員であった。

明治時代末(20世紀)
中川竜英
鍋島紀久子 伝来
全長14.5cm 高さ6cm


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