紺紙銀字妙法蓮華経
こんしぎんじみょうほうれんげきょう
表紙には金銀泥で宝相華唐草文を、見返し絵は金泥で巻第一に釈迦説法図、巻第二~巻第七には多層宝塔図、巻第八には菩薩半跏像を描いており、バラエティーに富んだ場面構成となっている。巻第八の奥書に道人玄哲らの発願により、壬申の年(1332年または1392年)に書写されたことが記されているが、見返し絵の作風などから高麗時代の忠粛王(ちゅうしゅくおう)復位元年(1332)と推定されている。また同巻裏書には金字法華経と同様の内容が記され、龍泰寺に納められた金字法華経に対し、銀字法華経は妙安尼が自ら開基した妙安寺に奉納している。その後、同寺の零落により、寛文3年(1663)12月に枝吉利左衛門順之が再納している。