松図襖
まつずふすま
金箔を全面に貼った背景に、左端に大きく空間をとり、対角線を意識した構成で松樹を描く。ずんぐりとした幹や枝、厚みのある松葉が印象的である。作者の狩野尚信は狩野孝信の次男で探幽の弟。寛永7年(1630)に京都から江戸へ下り、幕府の御用絵師となり、奥絵師木挽町狩野家の基礎を築いた。通称主馬、剃髪後の号は自適斎。尚信の現存作例は少なく、この襖絵は寛永3年(1626)完成の二条城二之丸にある尚信と探幽それぞれの松図と共通点があること、したがって尚信の比較的早い時期の作品と推測されること、鍋島家のいずれかの屋敷を飾っていた可能性が考えられることなど、興味深い作例である。