青磁象嵌雲鶴文筒形茶碗(狂言袴手)
せいじぞうがんうんかくもんつつがたちゃわん めいきょうげんばかま
この青磁茶碗には、口縁部や底面に生々しい焼け跡がみられる。大正7年(1918)に佐賀内庫所(鍋島家事務所)で纏められた御道具台帳には、「明治七年の兵火(佐賀の乱)で罹災したが、破損もしておらず御伝来の名器であるため、納め置く」と記されており、戦火をくぐりぬけて鍋島家に大切に伝えられた茶碗であることが分かる。筒形の胴部には二重の丸文のなかに花文を、腰部には連弁文を象嵌であらわしている。このような高麗茶碗は、胴中央の丸文を狂言師の袴の模様にあわらされた丸文に見立て、「狂言袴」と呼ばれる。