梨子地鳳凰唐草蒔絵文箱
なしじほうおう からくさまきえふばこ
表面全体に濃梨地を造り、蓋表から側面にかけて長い唐草文様と直線的な尾羽根をつけた鳳凰を表している。また、蓋の側面には鳳凰の頭部と尾羽根を対照的に配置している。雌雄の鳳凰は漆で盛り上げ、それぞれの羽元に金銀の平文を貼り、高蒔絵で表し、細部には付描と描割を加えて豪華さを見せる。一方の尾先が唐草となり、もう一方がそれをくわえる図様。身の側面に描かれている鳳凰の顔の表情がたいへん鋭い。鍋島家の菩提寺である高伝寺より大正14年(1925)に返納された御道具の一つ。