白地・縹地松竹鶴亀模様摺箔(一つ身)
しろじ・はなだじしょうちくつるかめもようすりはく(ひとつみ)
一つ身とは嬰児から1~2歳くらいの子供の衣服で、身頃には背縫いが見られない。背縫いのない着物を着ると魔が差すといわれるため、襟下に刺繍糸による背守りが見られる。全体に金銀の摺箔で、松竹鶴亀と花杏葉紋の五つ紋があらわされている。花杏葉紋は鍋島家の家紋のうち、女性や子供が用いることの多い家紋である。この一つ身は「文久元年酉十一月十五日 靏印様」と書かれた箱に、白髪や熨斗紙とともに収められていた。靏印様とは、10代鍋島直正の9女昶姫(幸子)のこと。昶姫は安政6年(1859)に生まれており、また白髪は武家の女子が3歳になった年の11月15日に行われる髪置の儀に用いられることから、これら一揃は昶姫三歳のときに無病長寿を願ってあつらえられたものと思われる。