八仙人図
はっせんにんのず
描線を誇張した表現で、鶴に乗った寿老人を迎える仙人の図を描く。手前にみえるのは蝦蟇・鉄拐仙人。中廻しには紗綾形の地紋に「福」「壽」の文字と鍋島本家の家紋である筋杏葉紋を配する。作者の3代鍋島綱茂は「学問を好み給ひ、詩をも能し、書画にも達し給ひぬ」(『雨中の伽』「文学」)と評されるなど、歴代藩主のなかでも詩歌や書画を得意とした。綱茂の画技習得について多くは知られていないが、藩絵師の小原友閑斎が師範を務めたこと、長崎の河村若芝門人である上野若元を召し抱えたことなどの記録が残っており、のこされた自筆の画からは狩野派の手法をよく習得していたことが分かる。