葵御紋付御所人形
あおいごもんつきごしょにんぎょう
この御所人形は、10代鍋島直正の正室である盛姫(11代将軍徳川家斉女、1811−1847)、あるいは継室である筆姫(田安徳川斉正女、1830−1886)がお持ちになったもの。紋縮緬地に松や桜、藤や芦、飛び交う燕を刺繍であらわし、金糸で流水と霞を刺繍した華やかな小袖を身にまとい、その両胸には金糸で葵の御紋がほどこされている。ガラスがはめ込まれたつぶらな瞳、豊かに張った頬やキリリと小さく結んだ口など、明るく優しげな表情がみどころ。御所人形の頭でガラス目は珍しく、幕末、目にガラスも入れるようになった時期の早い例といえる。