2021年1月 鍋島直正筆和歌「元日のあした」

鍋島直正和歌書「元日のあした」

なべしまなおまさわかしょ「がんじつのあした」
10代佐賀藩主鍋島直正 筆 嘉永年間頃~文久元年(1861)

1幅 紙本(金泥雲模様入り)墨書 掛幅装 (本紙)縦35.8cm 横47.9cm

 冒頭の詞書に「元日のあした つるの声をきゝて 斉正」とあるように、元旦に10代佐賀藩主鍋島直正(1814~71)が書した和歌直正は元服した文政10年(1827)から「斉正」と名乗りはじめ、文久元年(1861)に家督を11代直大譲り「閑叟」と名乗るまで用いた。このことから、本品は年代未詳ながら、文久元年が下限と考えられる。
 本文は「ほのぼのと 明行空になくたつ(※たづ=鶴)は 君の千とせをよばふ成けり」とあり、「君」を寿ぐ内容。寿字文の表装がめでたさを際立たせている。
 直正の漢詩集を見ると、しばしば除夜(大晦日)や元日に漢詩を詠んでいる。中でも安政6年(1859)元日に揮毫した「元日春書」という漢詩(※)は、詩の中に「臣 斉正」と詠み込んだ唯一の作で、朝廷への敬意が表れた作として知られている。和歌で朝廷(「君」)を寿いだ本品も、これと近い時期のものだろうか。いずれにしても、直正が書した漢詩の作品は数多く遺されているのに対して和歌の書は少なく、本品はその貴重な作例。

「宇内萬邦王赤子 斗南尺地国山河 鎮西快(壮)士臣斉正 先唱昇平第一歌」(「野人亭稿」所収)

 「愛娘への手紙 ―「名君」鍋島直正の素顔」展(2020年11月24日~2021年1月23日)にて公開中です。

 

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