こうばいにたかもようかみばさみ・はしさし
江戸時代後期 松平慈貞院(貢姫) 作 (紙挟)縦17.1cm 横7.7cm (箸差)縦16.8cm 横4.2cm
懐紙などを挟んで携帯するための紙挟と箸差。鮮やかな緋色の地に大ぶりなモチーフで表された鷹の勇猛さや梅花の華やかさが目を引く。厚紙の芯を縮緬でくるみ、押絵や切嵌など様々な手法を用い、膨らんだつぼみの立体感、また樹皮や急流なども、異なる質感の布を使用して見事に表されている。
裏面はどちらも深い紫色の地に、籬に菊と蝶が配されており、紙挟を開いたときなどには全く印象の異なる意匠が現れる。
このような細工物を製作することは武家女性の嗜みの一つであり、この2点は10代佐賀藩主鍋島直正の長女貢姫(慈貞院)の作で、のち12代鍋島直映夫人の禎子に譲られた。貢姫は7歳から、細工物を得意とする直正正室・盛姫の養育を受けている。
本品は「鍋島直正公の長女 貢姫」展(平成29年11月27日~平成30年1月20日)に出品しました。