こきんびな
江戸時代後期 小城鍋島家伝来 佐賀市所蔵
高さ40cmを超える堂々とした体躯の古今雛。柔和な笑みをたたえながらも、肩が上がり、広く両肘を張った男雛の姿には迫力がある。女雛の装いは多色の糸を用いた繊細な刺繍や豪華な金襴、零れんばかりの瓔珞をもつ宝冠などで華やかに飾られている。公家の装束を忠実に再現する有職雛(ゆうそくびな)に対し、古今雛は文化の中心が京都から江戸に移ったのちに誕生した、有職にとらわれない華やかな装束が特徴の江戸好みの雛人形。
この古今雛は、鍋島家の分家のひとつである小城鍋島家に伝来した。小城鍋島家は初代佐賀藩主鍋島勝茂の長男元茂に始まる7万3000石の支藩のひとつで、蓮池鍋島家や鹿島鍋島家とともに「三家」と呼ばれた。