2013年4月 古銅蓮葉に雨龍釣器

古銅蓮葉に雨龍釣器

幕末~近代(19世紀)  去風流家元19世松旭堂露山 所用
口径17.5cm 底径6.0cm 高さ12.0cm 鎖114.0cm


鎖をつけた釣型の銅製花器。全体に蓮葉を象り、底を三人の人物が支える。蓮葉には三瓜、二又の尾をもつ雨龍がつかまり、龍の鼻から鎖がつく趣向となっている。内には鉄製花留がそなわる。
この花器の所有者は佐賀市柳町(当時は蓮池町)で活躍した去風流家元19世松旭堂露山(松本浅一/1871-1940)。去風流(きょふうりゅう)とは生花の一流派で、草花の自然のままの姿を活かす抛入花(なげいればな)である。江戸時代中期に京都に始まり、明和5年(1768)に京都から佐賀へもたらされた。佐賀においては8代藩主鍋島治茂の好むところとなり、佐賀城の向陽軒や三の丸において上覧が行われた。上級家臣から僧侶、町人にいたるまで身分を問わず流行し、近代においては池坊と並ぶ二大流派として、松原神社の例祭で献花が行われた。家元は世襲制ではなく優秀な門弟が継ぐ慣わしであったが、第二次世界大戦中の時世下において19世家元を最後に途絶え、今や去風流は忘れ去られた流派となった。
松旭堂露山の作品集である『華の栞』(昭和12~14年に制作された作品の解説付き写真集。露山の息子・功による作成)にはこの花器を用いた作品も収録されている。本品を含む松旭堂露山関係資料は、ご子孫より平成24年に徴古館へ寄贈された。


 

『華の栞』(松本功 撮影)より

展示案内

本品は、松旭堂露山関係資料の寄贈を記念した企画展「生花・去風流 -最後の家元・松旭堂露山」展(平成25年5月20日(月)~7月20日(土))に出品いたします。

ページ上部へ戻る

トップページへ戻る