登録有形文化財 徴古館

徴古館は平成9年7月18日文化審議会答申により、同年11月5日、有形文化財に登録されました。(登録番号 第41-0003号)
 

登録有形文化財 徴古館

徴古館は、鉄筋コンクリート造、2階建、建築面積は約240平米と中規模の洋風建設で、大正15年(1926)に着工、翌昭和2年(1927)に竣工した。設計は佐藤功一建築事務所(徳永庸が担当)、施工は清水組(現・清水建設)である。

建物は左右対称を基本とし、平面は主体部の前半部の左右が張り出し形になり、正面に車寄せの玄関ポーチが取り付く構成になる。内部は、1階が玄関ホールを 入ると講堂で、左右の張り出し部に階段室及び事務室を置く。講堂の奥には演壇があり、檀上背後は幾分背面側に突き出す。2階は、階段室を除きもとは大小の 陳列室にあてられた。内装は、各部屋とも簡素である。

この建物を最も特徴づけているのは曲線的な構成になる外観で、特に正面の半円形の車寄せは、わずかに膨らみ(エンタシス)があるトスカナ式のオーダーを用 いて構成されるが、正面の円柱は2本一対の円柱(ペアコラム)を用いる。

また、2階正面の開口部も円弧状に張り出した窓の外枠位置に円柱を立てた正面性を 強調する意匠となっている。さらに、外壁の各出隅は掻き込みを入れ円形に仕上げ、建物全体を柔らかく見せる効果を出している。 窓などの開口部は、展示収蔵館としての建物の性格上全体的に抑えた構成になっている。両側面には縦長の方形の明かり取り窓が整然と取り付くが、上部を回転 窓とし下方は外開きの窓とする。

外壁の仕上げはモルタル洗い出しとし石造風に見せる。彩色は車寄せ部分や2階の円柱、外壁の腰下部及びパラペットやコーニ スなど建物上端部を灰色とするほか、外壁などを黄系色にまとめ、全体的にすっきりした端正な外観を保つ。

近年鉄製の窓枠をアルミ製に変えたほかは後世の改造もほとんどなく、全体的に保存は良い。この建物は、佐賀県内では鉄筋コンクリート造の建築としては初期のものであり、昭和初期の佐賀県を代表する洋風建築の一つということができる。

亀井 伸雄
文化庁建造物課主任文化財調査官(指定当時)