青漆塗萌黄糸威二枚胴具足
せいしつぬりもえぎいとおどしにまいどうぐそく
佐賀藩歴代藩主所用の具足で現存する唯一のもの。胴裏面に金泥で記された「鎧記」から、初代鍋島勝茂が寛永14~15年(1637~38)の天草・島原の乱で着用したもので、寛永19年(1642)に勝茂末男の直長に与えられた「武運之瑞器」であることが分かる。以後、直長の子の茂真に始まる鍋島内記家(親類)に伝来した。具足に付属する鍋島内記家6代茂生の書付(江戸時代後期)によると、当時から「堅牢にして軽便、質朴にして花色無」い具足、との評がなされ、天保14年(1843)にこの具足を見た10代鍋島直正は「わが家が所蔵する具足と匹敵する名器だ」と述べている。奇抜さはないが、萌黄色の威糸と青漆の色が調和し、機能を最優先したと思われるいかにも実戦的な甲冑である。簡素でありながらも藩主着用にふさわしい風格がある。
江戸時代初期(17世紀前半)
初代鍋島勝茂 伝来
胴高 45.0cm
●「鍋島直茂・勝茂の時代」(H23年)
●「名刀と古文書の世界」(H24年)
●「佐賀藩 長崎警備のはじまり」(H24年)
●「藩主の座」(H27年)