元文佐賀城廻之絵図
げんぶんさがじょうまわりのえず
6代藩主鍋島宗教の黒印が押された表紙が付属しており確実に原本と分かる唯一の佐賀御城下絵図。また本図と同時に作られた城下大曲輪内屋敷帳も現存している(翻刻史料:財団法人鍋島報效会/平成23年発行)。他期の御城下絵図に比べ、道路や水路といった城下の地割り、居住者名や町名などの基本的文字情報のほかに、色分け凡例を見れば分かる通り、井樋や橋、石垣、川の中島や畦畔などといった城下のインフラや地形まで注意深く表している。しかも橋であれば石橋、太鼓橋、平橋を厳密に描き分け、武家地以外における人家の存在を表わす模式的な家形も、町屋、郷地屋敷、番所などを描き分けており、城下の細部まで知ることができる極めて貴重な絵図。