染付菊文角皿
そめつけきくもんかくざら
鍋島藩窯の染付皿で、安永3年(1774)に幕府から佐賀藩に示された10代将軍徳川家治好みの「陶器十二通り」のひとつ「菊形大角皿」に相当する意匠と考えられるもの。
右下より立ち上がる一枝からは小ぶりな五輪が開花。皿の外に一旦は放り出された枝が右上角で大きくしなり、上辺から五つの大輪が顔をのぞかせ、うち一輪は裏菊とし変化をつける。二種の菊輪が対照的で、ダイナミックな躍動をイメージさせる本品は、隅入角皿に成形し、対角の片方に菊花を寄せる構図でありながら、窮屈さを感じさせない。