貢姫(健子)は、天保10年(1839)、10代佐賀藩主鍋島直正公の待望の第一子として佐賀城で産声をあげました。直正公の正室・盛姫の養育を受けるため7歳で江戸に移り、17歳で川越藩主松平直侯公に嫁ぎました。ところが直侯公は6年後に亡くなったため、髪をおろし慈貞院と称しました。
慶応4年(1868)には、父の勧めで23年ぶりに江戸から佐賀に帰郷。武雄での転地療養の後、晩年期を迎えていた父たち家族とともに佐賀城で過ごしました。明治4年(1871)父の葬儀で上京して以降も鍋島家の庇護のもとで暮らし、大正7年(1918)に80歳の天寿を全うしました。
本展は、平成30年が貢姫没後100年および明治維新150年にあたるのを機に開催しました。幕末の藩主の長女として養育を受け、薙刀や乗馬など文武の道に励まれた貢姫ですが、本展では自筆の書画、用いていた楽譜や茶道具、調度品、また婚姻にまつわる古文書、結婚後も文通を続けた父から送られた直筆の手紙などを通じ、おもに文事の面からその生涯を振り返りました。
展示風景おもな出品資料
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※特記のないものはすべて公益財団法人鍋島報效会所蔵
5 貢姫様御出府方記録 1冊 弘化2年(1845) 鍋694-1
6 桜田御屋鋪指図 1舗 嘉永3年(1850) 郷-934
11 塩焼図 貢姫(慈貞院) 筆 1幅 江戸時代後期~明治時代
13 押絵細工材料・下絵・振袖寸法帳など 貢姫(慈貞院) 所用 14包
天保15年(1844)~嘉永4年(1851)頃
15 布片 貢姫(慈貞院) 所用 1包 江戸時代後期~明治時代
19 書付 中島はま子 記 1紙 昭和10年(1935)4月6日 個人蔵
20 下絵 貢姫(慈貞院) 筆 199枚のうち2枚 江戸時代後期~明治時代
21 蝶に藤模様紙挟 貢姫(慈貞院) 作 1点 江戸時代後期~明治時代 個人蔵
22 紗綾形桜文箸入 貢姫(慈貞院) 作 1点 江戸時代後期~明治時代 個人蔵
23 黒地花筏文煙草入 貢姫(慈貞院) 作 1点 江戸時代後期~明治時代 個人蔵
24 小袖地袱紗 貢姫(慈貞院) 作 1枚 江戸時代後期~明治時代 個人蔵
25 牡丹文袱紗 貢姫(慈貞院) 作 1枚 江戸時代後期~明治時代 個人蔵
26 薄文煙管入 貢姫(慈貞院) 作 1点 江戸時代後期~明治時代 個人蔵
31 結び形目録(慈貞院御遺物) 貢姫(慈貞院) 作 1冊 江戸時代後期~明治時代
36 笙 10代鍋島直正から貢姫(慈貞院)、のち11代直大へ 1管 江戸時代後期
40 琴譜 貢姫(慈貞院) 所用 4冊 江戸時代後期~明治時代
43 東海道行程表(慈貞院御遺物) 古川松根 筆 1枚 慶応4年(明治元年)ヵ
44 箱根山中の植物(押し花) 貢姫(慈貞院) 所用 6包 慶応4年(明治元年)ヵ
45 直正公御年譜地取(巻八) 1冊 安政2年(1855)2月24日条 鍋113-24
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