釉下彩藤花文大花瓶
ゆうかさいとうかもんだいかびん
アールヌーヴォー風の装飾的な藤花模様を濃淡のコバルトブルーとオリーブ色で立体的に盛り上げ、釉下彩としている。内面と胴下部に記されたマークから、彫刻家・装飾家であるC.ピアン(C.Pihan)がデザインし、フランス国立セーブル製陶所で1911年に製作されたことが分かる。これはフランス大統領から朝香宮鳩彦王へ献上されたもの。鳩彦王は大正11年(1922)に軍事研究のためにパリへ留学しており、滞仏中に献上されたものと思われる。本品と対をなす花瓶が個人蔵として現存している。また形状や台座が酷似したセーブル花瓶が大正13年(1924)の皇太子裕仁親王の御結婚祝いとして、同じくフランス大統領から贈られている(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)。