菊御紋付桜模様七宝花瓶
きくごもんつきさくらもようしっぽうかびん
13代鍋島直泰夫人紀久子の母・允子妃が明治45年(1912)1月に御年玉として明治天皇、皇后両陛下より拝領された花瓶。宮内省型とよばれる肩の張った形状をしており、胴には満開に咲きほこる桜樹を七宝であらわす。七宝とはガラス質の釉薬を金属の素地に焼き付ける工芸技法。花瓶底部のマークから、安藤七宝店でつくられたことが分かる。安藤七宝店は明治13年(1880)名古屋に創業以来、現在も続く七宝焼の専門店で、同33年に宮内省御用達となった。頸部中央の菊御紋から、宮内省の御用をうけて製作されたものと思われる。本来は一対であった。