江戸時代、佐賀は鍋島藩36万石の城下町でした。これは大名の石高(こくだか)で言えば全国で10位くらいの大きな藩です。現在の佐賀県や佐賀市の人口から考えれば、佐賀の重要性は江戸期の方がずっと大きかったことが分かります。佐賀鍋島伝承遺産顕彰会は大藩であった鍋島家の事績の顕彰を通じて郷土佐賀のアイデンティティーとは何かを見つめ直し、地域の誇りを醸成して未来の指針を探求すべく、令和元年(2019年)7月22日に発足しました。
これからの地方都市にとって地域づくりの核となるのは自然や伝統、そして歴史へのまなざしであると思います。佐賀は今後も発展が期待される福岡都市圏に隣接し、21世紀の世界経済の「成長点」である東アジアに最も近いという優位性を持っています。佐賀は豊かな自然環境と食糧生産基地である強みがありますが、その上に文化的、歴史的風格を帯びればさらに魅力的な地域となる可能性があります。佐賀藩の歴史や鍋島家の伝来品はそのための中核的素材として位置づけられるでしょう。
私たちの活動は現代の佐賀に歴史的な恩恵をもたらした鍋島家の事績を未来、次世代へ伝えるためのチャレンジです。これからの佐賀を担う県内企業の中堅・若手経営者を中心として、佐賀県、佐賀市など行政とも官民協働しながら鍋島報效会への寄付活動を行っていきます。
歴史を一部の好事家や過去を振り返るだけの価値観にしてしまってはなりません。歴史とは伝承するだけではなく、創造していくものだと私たちは信じています。
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