約70点 江戸時代後期 10代藩主鍋島直正継室筆姫
花菱印(10代佐賀藩主鍋島直正継室の筆姫)の衣装注文書は図柄・形(振袖・留袖)の雛形とセットになったものが多いが、雛形(絵形)のみのものもあり、合計70枚近くにのぼる。多くは筆姫が田安徳川家から出ていることから葵紋付であるが、なかには花杏葉紋付1通、筋杏葉紋付3通が含まれている。
写真は花杏葉紋をつけた絽の振袖(夏物単衣)の注文書。未年は弘化4年(1847)にあたる。7月初めまでに出来上がるようにと6月19日に注文している。10日余りで完成するには、すでに生地があり、仕立てと紋入れの作業だけだろうか。この年3月10日に鍋島直正最初の夫人である盛姫が亡くなり、11月2日には田安徳川家の筆姫との縁組が正式に許可されており、早い段階で話は進んでいたものと思われる。
本品は10代藩主鍋島直正公生誕200年記念・第69回展「鍋島直正公御一家展」(平成27年1月5日~1月31日)に出品しました。
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